水のポータル サイト / 雨水貯留 / 地下水涵養 / 等高線濠

From Akvopedia
Revision as of 23:38, 18 August 2016 by Winona (talk | contribs) (干ばつ)

Jump to: navigation, search
English Français Español भारत മലയാളം தமிழ் 한국어 中國 Indonesia Japanese
Contour trch icon.png
等高線濠工法による建設及びパイプによる等高線の計測。写真: WTC

等高線濠工法を端的に説明すると、斜面に対して直角に濠(溝)を掘り、耕作面積を拡張させる工法です。等高線濠は、水の流れに対し垂直になるように斜面に沿って掘られた等高線状の濠です。濠から掘削した土は、斜面の下側の盛土として使い、狭い段を形成します。その小段には恒久的な植物(土着の草や豆)を植えることができ、それにより土を固定します。その根や葉が大雨により濠から土砂があふれ出ないようにします。

等高線濠は用水路ではなく、水の流れを遅くしたり、流出するのを抑えることで、地面に浸透させるものです。小規模な等高線濠は、畑でも使用できます。浸透する雨水は、作物を育てるための土壌を潤したり、灌漑へ直接ポンプで汲み上げたり、その地域の浅い井戸から汲み上げることができます。

適切な条件

  • 傾斜が10% 以下の自然な流出地区で濠を探します。
  • 周囲の土壌は十分な浸透容積と潜在的な地下水貯蓄容積が必要です。
  • ひどい嵐が発生する地域では、水が斜面を流れるのを完全に止めるのは危険な場合があります。余分な水を安全に排出するために、緩い角度(0.5度~1度)の水路や溝を造ります。


長所 短所
- 涵養の周囲の土壌の水分量の向上に寄与

- 農業の生産性向上、放牧地としての可能性、家畜用の水の増加により干ばつの影響の軽減
- 土壌浸食の軽減
- 浅い井戸への涵養支援
- 地下水の塩分軽減
- 水域への汚染物質流出の防止
- ガリー充填: 濠のデザイン不要、既存のガリー排水設備を利用

- 地下水涵養の可否がその地域の地中状態(浸透しない地層など)による

- 沈泥で濠が塞がるため管理が必要
- 等高線濠の利点について土地所有者の理解不足により、濠を建設するための土地の明け渡しの説得が1年では困難
- 土地断片化の増加
- 水文学・ガリー浸食の費用のかかる綿密な分析
- 詳細な降雨データがない場合に必要となる涵養能力・浸透性情報が入手困難
- 掘削機械機械導入にかかる高額な費用


環境変化への対応力

干ばつ

干ばつの影響: 収穫率の低下
効果の根本原因: 水位の低下、帯水層と農作物への涵養減少
WASHシステムの弾力性強化: 農民生活の多様化

干ばつ管理に関する追加情報: 干ばつ被害の多い地域に堅実なWASHシステムを導入

洪水

等高線濠は、貯水することで特に洪水が発生しないよう管理します。大雨が予報されている場合、等高線の端に植物を植え、濠を安定させ浸食を防ぎます。

建設、管理及びメンテナンス

ベトナム・キテンデンの等高線濠工法例
写真提供: Westerveld Conservation Trust

適切なサイズの濠を通じて効率的に流出水を貯水池に引き込むため、以下の情報と分析が必要です。

  • 等高線地図で収集した集水地域
  • 詳細な降雨データ(降雨確率や推定降雨サイクルなど降雨頻度分析に使用)。このデータを使用し、土壌保全サービス(SCS)方法である特定の降雨強度における流出水を予測できるようになります。集水測定のできない流出水を計算する簡単な方法です。流出水を計算するために、ある特定の降雨サイクル(例:5年)・集水地域・土壌特性・集水のための土地利用が必要です。降雨サイクルが分かると、その集水地域の総流出水量をを計算できます。
  • 土壌浸透率と土質は、現地での土質調査に基づいています。場所で行う土壌調査によってと土質を判断する(例:砂質土・ローム質土・粘土質土の水分吸収)
  • エリア、降雨データ、及び土壌データが収集されると、総溝容量を決定できます。流水量から降雨時の濠に浸透する水量を差し引いたものが、濠の許容量です。
  • これで、濠の容積と貯水池の大きさを計算できます。これは、その土地の特性と照らし合わせて調整する必要があります。ベトナムの濠はもともと幅4メートル、深さ1mの長方形で設計されていましたが、地元住民からの要望に応えて上底幅2.5m、下底幅1m、深さ0.75mの台形濠に修正されました。また濠は、時の経過と共に沈泥が溜まったり、土手が侵食されることにより浸透許容量が減るため、管理に不備があっても長期的に流水を貯蓄できるよう、容量に余裕を持って作られるべきです。
  • 濠の測定をする前に、その地域で等高線濠を試験的に行うのが良いでしょう。

濠の掘削

  • 濠は等高線に沿って掘削します。耕作は蒸発を誘発するため推奨しません。
  • 地下水の水位を上げるためだけではなく、主に植物の成長を優先し農業生産性を高める(ベトナムの例のように)ことを目的に濠を構築するのが良いアプローチのようです。なぜなら、そうすることで関心が高まり確実に濠の維持管理が行われるからです。(ベトナムでは、作物生産量を持続的に確保するため、この構造を管理する土地所有者団体の設置を求める声が上がりました。人々にとって一番の関心事が経済でした。その波及効果で、水位の低かった地下水が、持続可能な水位を維持しています。)
  • 掘削土は既存の浸食部分を埋めるために使えます。
  • 濠は砂のダムの壁に繋げることで浸透を高めるができます。
  • プロジェクトの設計に地元住民が関わることで、彼らの確実で継続的な参画が望めます。

費用

  • ベトナムでは、農民たちが濠の完成後も技術を再現できるよう、長期的な返金条件で低金利の融資を受けることができる方法を議論していました。従って、この技術を拡大させるには資金調達の手段が重要なようです。
  • ベトナムでの掘削費用は1haあたり約1,000ユーロでした。
  • 材料: US$2.6/m³または US$4,100/ha。
  • 労働力: 1日の手作業での掘削一人あたり1.5m³

実地経験

ベトナムで実施したところ、濠のそばにある地下水位3〜18mの浅い井戸7つのうち5つの井戸で、60mmの降雨後、等高線に沿った溝からの浸透によって水位が上がりました。地域の地下条件によると地下水涵養は確実に起こるとは限らないようです。ベトナムでは、濠近くの7つの井戸のうち2つは水位の影響を受けませんでした。これは恐らく浸透を阻害している地層があるためでしょう。従って、濠が水位に影響を与えない可能性は常にあります。

Successful Water Conservation in Awalkhed Village, Nasik.

マニュアル、ビデオ、およびリンク

  • 農業のための水利用に関するLarge wiki: Agropedia

謝辞

Translated by UNSW Master of Translation and Interpreting Program students: Hidetaka Abe, Yoko Takano, Joy Wu