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ケニア北部のロキタング川でダムを建設するトゥルカナの人たち。写真: AFP/サイモン・マイナ氏。

自然の雨水を谷間のような集水地域で堰き止めたり、ダムによって形成された貯水池に貯水したり、または他の貯水池に分水することによって水を利用可能にすることができます。ダム計画における重要な要因は: 年間降水量と蒸発パターン; 集水地域の現在の用途と流出係数 (例: 岩肌の貯水池の流出係数は約0.9と高); 水の需要量; 集水地域と建設現場の地質と地理。

ダムは 通常、不浸透性の粘土コア、石の水たたきおよび余分な雨水を排出する余水路を有している圧縮された土の隆起した堤防、屋外の岩の貯水池や強化されている、またはされていない石積み構造やコンクリートからなっています。

土留め構造物の裏にある屋外貯水池は 20 – 4,000 m³の範囲の容量を有しています。また、多量の水を貯水池から直接貯蔵タンクに集水するという代案もあります。

ダムの裏に貯蔵されている水は通常、配水システムに入る前に処理されるべきです。

適切な条件

基礎が不浸透性(例: 亀裂の生じていない岩または粘土)な用地の貯水池はコストを抑えるため、そして裏打ちをする方法を探す手間を省きます。代わりにヒビや亀裂をモルタル、またはコンクリートで塞ぐことができます。岩の集水ダムは主に他の水源が乏しい丘陵地や山岳地で上手く機能します。このタイプのダムは草木/土壌がなく、露出しているべきです。岩の貯水池ダムを設置するときは自然の地形を必ず最大限に活かすようにしてください。最大の容量を得るためにはダムを既存のタイドプールの低い側に建設してください。

高さが数メートルを満たない、または1メートルほど低いダムが小さなコミュニティには最適です。しかし、幅は数メートルから何百メートルにまでなり得ます。大きなダムが要求されている場合は、専門的な工学技術の応援を求めるべきです。

個人所有のより小規模なダムは、建設そしてメンテナンス作業への参加に関しては、成功するチャンスがそうでないダムより高いかもしれないです。


利点 不利な点
- 高い流出水係数は少量の雨からでも十分に集水することを可能にするので良いです 

- 岩の貯水池の屋外貯蔵での最小の浸透
- 条件が揃っていればメンテナンスは簡単で安価です
- 岩の貯水池は農地を占有しません。それに加えて多くの場合、この土地を所有する人がいないためダムに関する計画を実行するのは簡単です
- かなり大きめの貯水池は今後、水の需要がましてもさらなる掘削を行う必要性を排除します

- 周辺の土地利用と動物による水の汚染 

- 水系感染症の罹患性 
- 車や人や動物の集団が上を渡ることによって浸食、または破壊されることがあります 
- 表面に対する深さの比率が小さくなければ、蒸発は大きな損失になります
- 地質と周辺人口は貯水池に適切である必要があります


環境変化への対応

干ばつ

干ばつの影響:裏打ちされていないと、とりわけすぐに乾燥する傾向があります; 動物用の水を巡る対立。

干ばつの影響の根本的な原因: 降雨量不足; 高蒸発率; 池の底やダムを介する場合の高浸透率; 需要に対して不十分な貯蔵量(シルトの大きい負荷による池の塞がり、池を建造するために必要な高度な作業)。

WASHシステムの回復力強化: 蒸発&浸透を減らす; 適切な建設方法に従う; 多くの容量を得るためにシルテーションを減らす;シルトを取り除く作業が行われる可能性を高くするために池の個人所有を促進する; 農家が技術を再現できるように長期返済の条件が揃っている低費用なローンへのアクセスを改善する; 容量が水の需要量に対して十分になるまで段階的な建設方法を用いる。

干ばつ対策に関する追加情報:干ばつ被害の多い地域の強固なWASHシステム

洪水

気候変動に伴って、より激しい豪雨を経験する地域もあります。(複数の)小さいダムは一つの大きなダムよりも損傷を受けないため、修理にかかるコストは少ないです。水源を分散する。これによって洪水が一つのシステムを破壊し、修理作業が進められている間でもコミュニティが利用できる代替システムを確保できます。川の流路は頻繁に変化する可能性があるため、ダムの建設現場は川沿いの最も安定した場所を選んだ上、堤防の過去の洪水レベルを考慮してダムの高さを定めてください。

建設、操作およびメンテナンス

カボング県でダムを建設する女性。 食料や現金のインセンティブを用いて、WFP (国際連合世界食糧計画)はコミュニティに生産的な物質的財産を築くことや、環境を保護、そして再生するスキルを身に付けること、栄養摂取に対する関心を高めることや水を貯留することを奨励しています。

ダムの建設

セメントについての一般的なアドバイス:  タンク、ダム、水路や井戸などの建造物や裏打ちのヒビの一般的な原因はセメントの誤った混合や塗り方です。まず重要なのは、きれいな水、きれいな砂、きれいな石などの不純物が入っていない材料のみを使用することです。これらの材料はとても徹底的に混合する必要があります。次に、混合時の水量は最小でなければなりません。 コンクリートまたはセメントは辛うじて加工できる状態でなければなりません。液状ではなく、どちらかというと乾燥すらしている必要があります。最後に、セメントやコンクリートは養生している間は少なくとも1週間は常に湿った状態で保つことが非常に重要です。養生期間中、建造物はプラスチック、大きな拡張板または他の材料で覆い、定期的に濡らさなければなりません。

具体的なアドバイス:

貯水池の大きさとダムの高さは水の需要量、蒸発損失、重要な期間の長さや平均降水量によって定めることができます。ダムの大きさを定めるための方法の完全リストについては、CAREを参照してください:Nederlands Desk study Resilient WASH systems in drought prone areas (page 62).

ダムの壁は最大傾斜15%の岩に造ることができ、ダムの土台の幅は常にダムの高さの3/5でなければなりません。天端の幅は30cmであるべきで、岩壁の基礎は漏水の可能性があるため、特別な注意を払わう必要があり、ダムの壁の上流側は最大30mmのモルタルで下塗りをする必要があります。ダムの壁に使用される材料は不浸透性で粘土分含有量が多い(最低でも55%)必要があります。粘土に含まれている不要な成分はよけてください。ダムの壁の建設手順は特定のマニュアルに記されています。

谷間のダムを季節ごとの水路など具体的な場所に建設するときの経験則は小さな10,000m3を下回る小さな貯水池を400ha (1,000a)より大きい貯水池に建設しないことです。

側溝は貯水池の水を溜池に誘導するために必要です。側溝は清掃の際に貯水池から集められた岩を使用している石積みから建造することができます。側溝はたいだいの輪郭を辿り、最低3%傾斜すべきです。側溝は水を誘導するために十分な高さであるべきですが、流出水の速度が非常に速いところでは、流出水の流れを側溝に到達する前に低速にするためにある種の壁の構造物が必要となります。

水抽出と処理

水が人間に消費されるのであれば、一年中、家畜と人が集水地域と貯水池に近付かないようにする必要があります。これは夜警パトロールを定期的に行い、さらに柵で場所を囲うことによって可能になります。蚊の幼虫を食べるように魚を貯水池に導入することが可能です。導入することによって同時に栄養源を提供することにもなります。水は浄水場、および公共の配水塔や家庭用の連結部を含む配水システムを通して利用者に提供されるべきです。岩肌やアースダムの裏に備えられているような屋外の貯水池では、ポンプまたはパイプにより水を取り出すことで直接抽出するのが効果的です。抽出方法は沈後水の乱れを最小限に抑えるべきで、これにより後の処理の条件を減らすことができます。

  • 堆積物を減らすことのできる浮遊式取水口を使用していて、堤防に取り付けられているポンプを通して直接抽水するのも一つの選択肢です (小型で効率的なモーター式ポンプまたは 手動ポンプ)。ダムの壁を介して下流側へつながる流出管と過器も別の選択肢ではありますが、これらはダムの壁の劣化させるという潜在的な問題があります。また、配管は岩を横断するときには外部から固定されなければならないため、パイプをアンカーポストに固定するときには注意しなければなりません。
  • 濁度を低減するための予防方法(シルトトラップ、抽出法)がある場合においても、水は依然として混濁・汚染されて処理が必要となります。
  • 直接抽出するためには、家庭での水処理が奨励されています。家庭での水処理技術は水に含まれている汚染物質を除去する効率に基づいて選択する必要があります。シアノバクテリアの藍藻が発生しやすい下水面では、シアノバクテリアの毒素を除去する性能がある  コンクリート・バイオサンド・フィルター が良い選択です。しかし、移動可能なコミュニティにはより適切な他の技術が存在するかもしれません。 (例: 混濁レベル次第で Sodis または セラミック・ポット・フィルターが使用できます)都市環境の近くにある貯水池や、周辺で集約農業行われている流出水領域では、水源の分散は直接的な飲料目的の代替を提供するための良いアイディアです。不法な物質の使用および制限の強化もまた支援となるでしょう。

操作とメンテナンス

ダムを操作する際には、管理人をおくのが好ましいです。管理人の仕事はダム、または貯水池に向かう水路のバルブまたは水門の開閉を含むことがあります。多くの場合、水を汲む場所は給水所で提供されます。女性や子供であることが多いですが、水を汲む作業は通常、利用者自身が行います。

正常に機能していて持続可能な表面貯留システムを確保するためには、利用者は以下のような問題に取り組める組織を設立する必要があります。

  • 各利用者に許可されている水の消費量;
  • 通行人による不正使用の防止;
  • 水質汚染の防止;
  • 不公平な抽水;
  • 上流と下流の対立の解決 (例: システムが自然の水文学を変えた場合);
  • O&M活動と資金調達;
  • システムの O&Mへの貢献に関する各家庭の同意 (例: 寄付は現金、物品または労働、どのようにされるべきか)。

システムの建設された現場の近くに住んでいる、または農場を経営している人を貯水池と集水地域のO&Mの仕事に任命するかことができます。利用者が貯水池の近く、または貯水池から水を受けるのであれば、この人が水の分配、さらには監視業務を担当する可能性があります。この人物の権限はシステムの利用者たちに明らかに受け入れらている必要があります。

ダムを維持するには、バルブ、水門および管水路を水漏れや構造破損が起きていないか点検しなければなりません。修理を直ちに行えない場合は、破損点に印をつけておく必要があります。集水地域も汚染や浸食が起きていないか点検しなければなりません。浸食を制御するためには、草や樹木を雨季の前に植えることもできます。これに加えて苗床をはじめる必要が生じる可能性があります。

年に一度、貯水池はビルハルツ住血吸虫病(住血吸虫と呼ばれる寄生虫によって引き起こされるヒトの疾患)の危険性を減らすために短期間の間干上がったままの状態にしておくことができます。貯水池、シルトトラップ、側溝などは、少なくとも年に一度シルトを除去しなければなりません。蚊の繁殖とマラリアの蔓延を制御するため、毎年干上がることがあれば貯水池にティラピアを導入することができます。

Chart: WHO

潜在的な問題

  • 化学スプレー、過剰放牧、産業や農産業、開墾、定住、動物の排泄物などによる水の汚染
  • ビルハルツやマラリアなどの水媒性や水関連の病気
  • シルトによる貯水池の塞がり
  • アースダムは車、動物やダムの上を歩く人により損害を受けます。
  • ダムや貯水池は浸透、げっ歯動物、または他の原因によって徐々に壊されます。
  • うまく設計されていない、または予測されていた流出水が実際のものよりも多いため、ダムが正常に働かなる・崩壊して損傷を引き起こす。
  • 需要が高く、降雨量が少なかったり、不規則である場合は、広い集水地域およびダムが必要です。
  • 地域の土壌や地理的条件が好ましくない場合は、ダムを建設するために必要な材料(例: 粘土、砂、砂利)の輸送費が高くなる可能性があります。
  • 適切な建設地が少ない、不適切な集水地域。

ダム、または貯水池に適している用地がない場合(例: 地面がダムに適した充分に強い基礎を築けなうい上、浸透を防げない)

  • 深さと表面の比率が小さすぎる場合、または濾過や蒸発損失があまりに大きい場合、ダムまたは貯水池は高価で大きすぎることになります。これらを減らすことのできる方法は:自然の地形を最大限に活かすようにダムの建設地を選択する。これによって表面積比に対して多い容量が確保でき、最も深い貯水池を得ることができます。貯水池覆う、または水を直接集水するタンクを建設する
  • 表面貯留システムを実行および/または維持するために必要な労働力、現金と物品の両方またはいずれか一方への投資はコミュニティの財力を超えているかもしれません。
  • 人口密度が高い中心地、または重要なインフラがダムの建設現場となる可能性がある場所の下流に位置している場合は保安上の理由でこの用地を利用することを除外するかもしれません。
  • 飲料水の味は集水地域の間で異なります。利用者は味を重視するため、これは利用者がシステムを受け入れるか否かに影響を及ぼします。

コスト

これは地域の状況によって異なります。コストが高くなることがあります – ケニアでの経験からすると、56m3のダムは労働力を含めて$4,000 かかり、これは貯留量がm3あたり$71という計算になります。しかし、ケニアにある13000m3の岩でできた貯水池の別のコストは貯留量がm3当たり1.60米ドルでした。タンザニアの30000m3のアースダムにかかった対当するコストは1.90米ドルであり、マリの80000m3のアースダムにかかったコストはたった0.2米ドルでした。

実地体験


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マニュアル、ビデオ、およびリンク

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