ルワンブ、ウガンダの丘陵地帯
実施期間: 2012年10月〜2013年12月まで計画を実施。資料として記録し学術的な知識を得るためにはより長い時間を要し、2014年の末までかかる可能性があります。
試行の課題
現在の状況
この地域の土壌と傾斜が異なる複数の山の中腹では農業が盛んになってきましたが、地下水面が低下しています。新しい耕作地は全般として勾配が険しく侵食されやすいため、このままの農業慣行は持続不可能であることがわかっています。加えて、この地域には700〜1000㎜の十分な降雨があるものの、地下水面がこの数年でかなり低下しており、湧水や浅井戸は枯渇してきています。おそらく急速に盛んになった農業と、森や湿地が減少したことが原因だとみられます。地元の人々はこの数年の降雨はかつてより不安定であることを証言しており、この地域も気候変動の影響を受けていることが示唆されています。
社会経済的、文化的条件
予備調査が2011年に実施されており、この地域の住民の75%は1日あたり1ユーロ以下で生活していることが示されています。主食はこの地域で繁茂するプランタンですが、青枯病に脅威にさらされています。コーヒー、ピーナッツ、キャベツのような換金作物が増える傾向にあります。南部のルワンダ国境近くから来る移民が流入しており、異なる民族グループがいる状態になっています。この地域ではイスラム教とキリスト教が信仰されています。
試行地域の地理的条件
全体的な情景としては、草に覆われた小山(最高地点:海抜約1,550メートル)と、海抜1,250メートルの渓谷が広がっています。表面が岩に覆われている山もあります。山の斜面はローム質と粘土質の土壌から成り、その層の厚さは4メートルに達します。渓谷ではルワンブ川沿いに湿地や湿原が広がっています。
試行の目的
高地では侵食と流出水への保護対策が必要となっています。それらの保護対策から得られる涵養の増加によって利益を得ることができるものと考えられます。様々な斜面や土壌の種類に合わせて、5種類の技術が使われます。
場所と協力者
- 場所: ルワンブ地区はウガンダ西部、アイバンダ県とカムウェンゲ県の境界上に位置する。緯度: 0° 1'33.03"N経度: 30°24'55.54"E
- 協力者の役割と責任: JESEは介入地域の提案を行い、RAIN、国際湿地保全連合、URWAと共同して計画の作成にあたった。なお計画の実施はJESEが単独で行う。
- その他の協力者:国際湿地保全連合とウガンダ雨水協会(URWA)
- その他のパートナーの責任と役割: 技術的な助言、計画についての助言、能力開発
概要
- この計画の一部は湿地帯での耕作を放棄しなければならなかった人の補償に当てられる。
- テーマ: 3R、食糧安全保障、森林の再生と土壌の安定
====戦略
Contents
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この戦略では山地をいくつかの区域に分割する。現在は放牧のためにだけ利用されている山の頂上に、植林を行う。シルキーオーク種の樹木がそれらの山の頂上で農業への土地の利用を邪魔することなくよく発育するものと期待されている。シルキーオークの植林によって、家畜の放牧を妨げることなく、土壌を安定させて、より多くの雨水を捕らえ、山の斜面にそれを浸透させることができる。
2012年、2013年に実行される計画: 5,000本のシルキーオークの苗木を極小水盤法で、5メートル間隔で植え付ける。それより下方の斜面では人々は長期的には持続可能でない方法で土を耕すようになってきており、森林農業のほか勾配の険しい斜面では草の堤防や細長い草地、山腹の段丘や交互に配列された溝といった土壌の保護対策が推進されている。その短期的な影響は流出水や土壌堆積物の保有といったものである。
同様の理由から、薪として利用可能な(農民が種を管理する)土着種の樹木も導入が進められている。高所のバナナや落花生、コーヒーのプランテーションの施設が引く境界線について、溝の代わりに、ベチバーや力芝を推奨する。加えて、すでに造成中の段丘(段々畑:Fanya juus)は2013年も引き続き作業が行われる。
目的
- 斜面での農地の安定
- 斜面での地下水面の涵養
活動(2013)
- 樹木で斜面全体を覆う(例、アイバンダ側に2,000本)
- 急な斜面での森林農業の推進(草の堤防、細長い草地、山腹の段丘)
- 薪炭林になる可能性のある、種農家が管理する土着種の樹木の促進あるいは試験
- 石堤防:ベチバーを4,000mに延長し効果のある高さにする
- 流出水施設を作る(例、交互配列の原則)
- 境界線の代替案の紹介(溝の代わりに)ベチバーや力芝を用いる
- 段々畑(Fanya juu)を3,000mに延長する。
計画立案とプロセス
2012年、段々畑(Fanya juu)がバナナのプランテーションに変えられたことをきっかけにこの計画は始まった。約500本のシルキーオークが植林され、石堤防が築かれた。MetaMetaと共同で衛星写真を使った調査と計画のための計画を作り上げており、この計画の実行はJESEが行う。
SWOT分析
SWOT分析本計画の(強み、弱み、機会、脅威)
強み
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弱み
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機会
作業に多種多様な技術を用いる簡単な計画によって地域の住民を啓発できる可能性がある。
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脅威 水の供給環境の向上による利益への無理解が作業への関心の欠如に結びつく可能性がある
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現在の状況 | 期待される結果 | 実際の結果 | |
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水の供給 | 湧水と浅井戸が枯渇しているため、住民は湿地などの野外の水資源に依存している。 | 複数の湧水が再生し、150,000㎡の農地の土壌と水の保有が改善した。 | |
MUS | 飲料水の問題に関しては、別の計画に夜取り組みが行われているが、この現地での対策によって地下水量は回復する。 | 農地に適した土壌水分の改善 | |
3R | 涵養 | 高所の地下水面の涵養と湿地への緩やかな排水 | |
事業開発 | コーヒーのプランテーション、ピーナッツのプランテーション、耕作に適する土地の拡大 | そのプランテーションの環境の持続可能性 |
結果
技術
- 水の貯留の種類:現地貯留
- 貯蔵方法の種類:段丘(段々畑:Fanya Juu、傾斜地農業:Fanya Chini)、植林地、石堤防、草堤防、交互配列の溝
- システムの設置数: 6種類のシステム
- 総量(㎥): 計測困難